日立とエア・プロダクツがオランダでゼロエミッション建設現場に関する実証を実施
Features | 28.07.2025 | 1 min read
ディーゼルに代わるクリーンな選択肢として、日立エナジーの水素発電機がバッテリー駆動式ショベルに電力供給
日立エナジーは、ゼロエミッションの燃料電池技術を活用した水素発電機「HyFlexTM」を、オランダ王国(以下、オランダ)に初導入しました。当社は、世界最大の水素供給企業であるエア・プロダクツ、バッテリー駆動式ショベルZE135を提供する日立建機、持続可能かつ革新的な建設ソリューションを展開するデュラ・フェルミーアとともに、よりクリーンな建設手法に関する実証をロッテルダムで実施しました。
エネルギー転換におけるグリーン水素の重要性は増しています。クリーンなエネルギーキャリアとしての汎用性と、電化が困難な分野を間接的に電化できる特性により、産業の脱炭素化を推進する大きな可能性を秘めています。建設業界は、世界のエネルギー関連CO₂排出量の3分の1以上を占めており*1、建設物に環境負荷は依然として増加傾向にあります。
*1 Global Status Report for Buildings and Construction 2024/2025 (英語サイト)
政策の後押しも、クリーンエネルギーの導入加速に重要な役割を果たしています。EUの改正「建築物のエネルギー性能に関わる欧州指令*2」、カナダ・オスロの建設現場における気候・環境要件*3、オランダのゼロエミッション建設機械に関するロードマップ*4など、先進的な規制やインセンティブは、従来の化石燃料発電機に代わるクリーンな選択肢の必要性と需要の高まりを反映したものです。
*2 Directive (EU) 2024/1275 of the European Parliament and of the Council of 24 April 2024 on the energy. performance of buildings
*3 Climate and environmental requirements for the City of Oslos construction sites, 2022
*4 Roadmap for Zero Emission Construction Equipment (Roadmap ZECE), 2023
日立エナジーのHyFlexは、燃焼をともなわずに電力、熱、水を生成するため、有害物を排出しません。また、すぐれた静音性も備えています。500kAのHyFlexは、従来のディーゼル発電機と比較して、年間最大800トンのディーゼル燃料消費を削減でき、約2,900トンのCO₂排出削減につながります。1MWhの電力を発電するために必要なグリーン水素は約70kgです。
ロッテルダムでの実証で用いたHyFlex
エア・プロダクツの欧州・アフリカ地域マーケティング・成長戦略担当役員のキャロライン・スタンセルは、「エア・プロダクツは、世界最大の水素供給企業として、ゼロエミッション建設に向けた革新的な一歩を支援できることを誇りに思います。今回の実証により、水素を活用したソリューションが実際の現場でも十分に機能すること、また、水素が脱炭素化は実現困難と言われてきた分野の脱炭素化に貢献し、エネルギー転換を実現できることが証明されました。」と述べています。
日立エナジーの系統・電力品質ソリューションおよびサービス部門責任者のマルコ・ベラルディは、「日立エナジーは、持続可能なエネルギーの未来を切り拓く革新的なソリューションと技術の提供に取り組んでいます。当社は、エネルギーエコシステム全体が同じ方向に進む必要があると認識しています。今回、オランダにおいてHyFlexを導入できたことを嬉しく思います。今回の実証は、各業界における主要企業との独創的な協業によって実現したものです。」と述べています。
HyFlexによる電力供給を受けた日立建機のバッテリー駆動式ショベル ZE135
今回の実証は、ゼロエミッション建設現場の実現には、業界を越えた強力な連携が不可欠であることをあらためて示しました。中でも注目すべきは、持続可能な建設への転換を加速させる画期的なイノベーションである、日立建機のバッテリー駆動式ショベルです。
日立エナジーは、グリーン水素のバリューチェーン全体を網羅する包括的なソリューションを提供しています。水素を電力に変換する「Hydrogen-to-Power」ソリューションに加え、電解装置向けの「Power-to-Hydrogen」ソリューションも展開しており、高電圧の系統連系からスタック端子まで、電力供給システム全体の最適化を実現します。ソリューションの適用先は、建設現場や騒音・環境汚染に敏感な地域、ダンプトラックやショベルなどの電動重機が増加する鉱山現場、病院・データセンター・ホテルなどオフグリッドでの電力・熱供給が必要な重要施設などが挙げられます。また、最近スウェーデンでは、停泊中の船舶に対して、エンジンを稼働させる代わりに、HyFlexによるクリーンかつ低騒音の電力を供給する実証が行われました。
日立エナジーは、高効率・高信頼性・高品質な電力供給システムを提供する理想的なパートナーとして、水素エコシステムプロジェクトのギガワット規模への進化に貢献します。