「不確実性の高い電力事業の業務を支援するデジタルソリューション」#3 エネルギートレーディング&リスクマネジメント(ETRM)
Blog Post | 11.11.2025 | 4 min read
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前回は、「#2 エナジーポートフォリオマネジメント(EPM)」について説明しましたが、次にご紹介するソリューションは、エネルギートレーディング&リスクマネジメント(ETRM)です。まず、エネルギー市場全体の参加者を分析し、ETRMのソリューションの必要性を理解することが重要です。主要なプレーヤーには、発電事業者、電力会社、小売業者、ロードセンター(デマンドセンター)、トレーダー、市場運営者が含まれます。
ETRMソリューションにはどのような機能があるのでしょうか。発電事業者は、発電アセットを所有し、都市、住宅、商業ビルなどの需要地に電力を生産・販売します。市場によっては、市場運営者を通じて需要地に直接販売することも可能です。また、市場取引を通じて電力を取引することもできます。ポートフォリオをヘッジするために、金融デリバティブ契約を利用する場合もあります。
各地域の電力会社や事業者は、自家発電または第三者発電から電力を調達し、お客さまにエネルギーを販売する義務があります。これには、市場での購入も含まれます。
トレーダーはエネルギーの売買に従事しており、通常、発電アセットを所有していません。そのため、市場メカニズムに依存しながら、市場の流動性における重要な役割を果たしています。この結果、市場参加者は市場リスク、信用リスク、運用リスクという3つのリスクにさらされています。市場リスクとは、価格などの市況の変化により将来の収益が変動することです。信用リスクとは、取引先の債務不履行に関連するリスクのことです。運用リスクとは、取引の設定または支払いの指示においてエラーが発生する可能性があることを指し、工場停止などの物理的に発生する商業的リスクも含まれます。
次にETRMの必要性を高める市場の3つの要因についてみていきます。先ずは「エネルギー転換」です。エネルギー転換とは、化石燃料から再生可能でクリーンなエネルギー源への移行を指します。この移行により、エネルギー市場の形態が変化し、結果としてエネルギー取引機能や支援システムも変化します。再生可能エネルギーの生産が増加するにつれて、電力ポートフォリオ管理と最適化が複雑化しています。そのため、電力購入契約(PPA)の件数や必要性が高まり、伝統的な先物市場から当日市場やフレキシビリティ市場への移行が進んでいます。ゼロカーボン経済を推進するためには、企業の脱炭素化イニシアチブを管理し、規制当局への報告を徹底する必要があります。
次に挙げられる要因は「エネルギー市場最適化」です。ETRMシステムは、急速に変化する市場環境において、卸売エネルギー市場のポジションとリスクを管理し、最適化するために不可欠なシステムです。卸売市場での価格変動は一般的ですが、エネルギーや商品関連の企業、例えばユーティリティ、工業企業、トレーディングハウスなどは、現在、極端な事象がより頻繁に発生する状況に直面しています。この移行は「レガシー技術」によって支えられたり妨げられることがあります。老朽化した送電網に加えて企業のレガシー技術や増大する分析およびレポーティング業務は、ETRM関連の投資を促進する要因となっています。
次にこのETRMシステムの役割について説明します。ETRMシステムは、市場参加者と彼らが直面するリスクを管理しながら、エネルギー取引のライフサイクル全体をサポートするためのタスクとビジネスを自動化するシステムです。このETRMシステムの役割は、市場参加者の3つの部門に分かれています。
まず、フロントオフィスですが、こちらは ここは市場の窓口として取引を行い、企業が収益を上げて価値を高めることをサポートします。具体的には、ディールキャプチャー、ポジションレポーティング、価格管理、電力や天然ガスのスケジュールとデリバリーの調整・管理を行います。
ミドルオフィスもまた、現在および将来のポートフォリオの価値と収益性を把握し、フロントオフィスと連携して未解決のリスクをヘッジします。おもな活動には、ディールの検証と確認、バリエーションとリスク分析、信用リスク分析、財務レポーティングが含まれます。
最後に、バックオフィスが 取引の生産と会計を担当し、フロントオフィスをサポートしながらキャッシュフローを管理します。契約管理、決済、請求処理、会計およびトレジャリー関連のプロセスや報告がおもな業務となります。
次回は不確実性の高い電力事業を支援するデジタルソリューション「#4 投資の予見性向上を支援(ノストラダムスAI)」をご紹介します。
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